
本作は,Maria Bethania の1965年の音源が収録されたものです.
1-6曲目では,Noel Rosa の曲が,ヴィオランとパーカッションのみのシンプルな編成で歌われています.
これがまず魅力的なのです.MariaBethania,当時は相当若いのにも関わらず,その声には枯れた色合いの美しさがあります.その若さに対して深みのある声色や自己完結している音楽性のギャップに戸惑いますが,素晴らしい音楽であることは間違いないと思います.原曲のモダンさよりも前面に立つ,彼女固有の音楽性が大きな魅力なのです.
しかし,編集盤ということで,EPから収録の7,8曲目で空気感がガラッと変わってしまいます.トロピカリア勢がそのキャリアの初期にRCAからリリースしていた作品に通じる大仰なオーケストレーションです.これはこれで貴重か.9曲目以降は1-6曲目にオーケストレーションを加えた再アレンジ曲です.
さて,冬です.外が寒いので部屋に籠ってばかりになってしまいます.ジョアンジルベルトも歌で出かけたくないと駄々をこねてましたね.温かい部屋で素敵な音楽を聴きながら眠りにつけるなら,もう他に何もいらないやと思ったり.でも,Maria Bethania は,その歌声に緊張感があるというか,苦みがあるというか,私たちを甘やかしてくれないんですよね.